新年まであと数日となりました。
北風が吹き、雪がちらつく日には温かくなる飲み物がとくに欲しくなりますね。
台湾ではこの季節には、焙煎の強い伝統的な凍頂烏龍茶を飲みます。しっかりと火入れされた茶は身体を芯から温める作用があるからです。
しかしこの伝統的な凍頂烏龍茶は姿を消しつつあり、日本ではほとんど手に入りません。
伝統的な凍頂烏龍茶とは、茶湯の色は透明感のあるヤマブキ色です。じっくりローストされているため、ほうじ茶を思わせる芳ばしい香りがします。そして、芳ばしさのなかにキンモクセイのような甘い香りがほのかに漂います。
初めて飲む人の中には渋いと感じる人がいますが、一瞬感じるその渋味のようなものは、じっくりと味わうと一般的な渋さとは少し違うはずです。頬がギュッとなり、唾が湧き出るような感覚から甘さに変わります。その甘みは香りと共に喉の奥からじわじわ伝わるもので、凍頂烏龍茶の最も重要な味わいの要素、『回甘(フェイガン)』と言われます。そして、その甘い余韻はずっと心地よく続きます。
濃厚で奥深く、かつまろやかな味わいは、今でも伝統凍頂烏龍茶を愛する人の心をつかんで離しません。
台湾国内でも主流ではなくなった、伝統的な凍頂烏龍茶。出逢う機会があれば是非試してみてください。
きっと身体が温まるに違いありません。